挨拶

第 12 回 日本蘇生科学シンポジウムの開催にあたり



第84 回日本循環器学会学術集会 会長
京都大学大学院循環器内科学 教授

木村 剛

 このたび、第84 回日本循環器学会学術集会を開催するにあたり第12 回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)も併せて開催させていただく運びとなりました。COVID-19 の影響で第84 回日本循環器学会学術集会が3 月開催の予定から7 月開催へと延期になり、さらに web によるオンラインでの開催へと移行することになりました。本シンポジウムにつきましても同様にオンラインで開催することになりました。

 この J-ReSS は、日本蘇生協議会(JRC)の構成学会が毎年交代で学術集会時に併催してきており、当学会が担当するのは2 巡目になります。前回担当した第4 回のときもそうでしたが、2011年3 月18 日~ 20 日に横浜で開催する予定の第75 回学術集会は、その開催7 日前に東日本大震災が発生し、学術集会は規模を縮小して8 月に開催され、J-ReSS は9 月の日本心臓病学会(神戸)に併催されました。今回も同様に COVID-19 の影響で開催が危ぶまれましたが、途切れることなく開催できましたのもひとえに皆様のご支援のおかげであったと思います。厚く感謝申し上げます。

 今回はテーマを「CPR を再考する」とし、ディベートを企画しました。最近では、救急蘇生領域でも臨床研究が広く行われるようになり、エビデンスが創出されてきております。当学会でも JCS-RESS(日本循環器学会- 蘇生科学研究グループ)を集中・救急医療部会内に立ち上げ、日本全体のウツタイン登録データを解析して世界に向けて発信し、国際コンセンサス・ガイドラインに影響を与えています。エビデンスをもとに診療内容を再考するという本学会のテーマである “Change Practice” の観点から「CPR を再考」していただきたいと考えています。

 また、1960 年に人工呼吸+胸骨圧迫+電気ショックを組み合わせたCPR が作成され、本年は60 年=還暦との記念すべき年になりますので、CPR60 周年記念講演としてCPR 普及にいち早く取り組まれた河村剛史先生にご講演をお願いいたしました。「お互いの命を守る社会づくり、あなたは愛する人を救えますか?」と題して命の大切さを地域社会全体で育む取り組みをお話いただけることと思います。

 現在、JRC 蘇生ガイドライン 2020 の改訂が国際連携のもとに進められ、当学会からも「ALS(2次救命処置)」「ACS( 急性冠症候群)」「EIT(普及教育のための方策)」に編集委員・共同座長・作業部会員として参画し推進してくれていますが、COVID-19 への対応のため発表予定が6 か月遅れると聞き影響を心配しております。当日はその作業に携わっている代表者から作成の過程や今後の展望をご講演いただきます。ポスター発表でも、すでに海外の学会で発表されたものも含めて日本での最新研究を広く共有できるように簡潔に発表していただき、これらの研究が今後どのようにガイドラインへ繋がり “Change Practice” していくのか注目していただけたらと思います。

 以上の内容は、学術集会に参加される皆様には学術集会期間中(2020 年7 月27 日~ 8 月2 日)とその後10 月31 日までいつでも視聴を可能にいたしました。さらに、学術集会に参加されなくとも多くの関係者の方にご視聴いただきたく、11 月1 日より14 日間は無料公開する予定にしております。

 当学会員にとどまらず参加者の皆様には「J-ReSS に参加して本当に良かった、勉強になった」と言っていただけるような、記憶に残る充実した会を目指して精一杯努力してまいりました。どうか多くの皆様に御参加いただきますよう御願い申し上げます。

 
 

第12 回 J-ReSS 開催にあたり



一般社団法人日本蘇生協議会 代表理事
大阪青山大学

野々木 宏

 第12回 J-ReSS(Japan Resuscitation Science Symposium、日本蘇生科学シンポジウム)は、日本循環器学会木村剛会長(第84 回日本循環器学会学術集会会長、京都大学大学院医学系研究科循環器内科教授)により「蘇生科学:CPR を再考する」というテーマで開催されます。本来 2020 年3 月に開催される予定でしたが、COVID-19 感染の蔓延により7 月に延期となりました。収束が困難となったため会長のご英断でWeb を用いたオンライン学術集会の開催となり、7 月27 日から8 月2 日まで The Week for JCS 2020 としてすべてのセッションをライブあるいはオンデマンド配信と、これまで類のない学会となります。J-ReSS もオンデマンドとして予定していましたすべてのセッションを開催することになりました。会長と実行委員会の皆様のご英断に感謝いたします。

 2020 年は心肺蘇生(CPR)が確立されてから60 周年で還暦、JRC 蘇生ガイドラインの改訂と非常に重要な年です。プログラムにはこれらを反映して、特別講演には市民へのCPR 教育をいち早く手がけられた河村剛史先生による CPR60 周年記念講演と4 つの Pro・Con セッションを用意いただきました。1998 年から開始された各地域の院外心停止ウツタイン登録は2005 年に全国登録事業となり150 万件を超えるビッグデータで世界に誇る財産といえます。そのデータ解析から様々な報告が国際誌で掲載され、2015 年国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation, ILCOR)の国際コンセンサス作成ではエビデンスとして多数取り上げられ各国のガイドラインへ影響しました。今回の Pro・Con でのテーマである心停止に対する適切な気道管理やアドレナリン使用は、わが国からの報告が契機となり各国でのRCT 実施につながったものです。わが国に救急システムにいかにガイドラインを適用するか再考されるものと期待しています。

 またガイドライン改訂の直前として、その進捗状況を各作業部会から展望としてシンポジウムを組んで頂きました。また質の高い蘇生科学の研究報告を一般演題としていただき、優秀報告には Okada-Award が授与されます。

 それぞれ素晴らしい企画で、オンデマンド配信で多くの方々に視聴いただける機会を設けていただきました菊地研先生をはじめ実行委員会の皆様方のご尽力に深謝致します。